税務調査があったときの個人住民税や個人事業税などへの影響

税務調査が入り、税務署の言うとおりに税金を支払ったとしてもそれで終わりではありません。所得が変わると、住民税や事業税など他の税金の金額にも影響してくるのです。 これらの通知は、修正 … 続きを読む 税務調査があったときの個人住民税や個人事業税などへの影響

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税務調査が入り、税務署の言うとおりに税金を支払ったとしてもそれで終わりではありません。所得が変わると、住民税や事業税など他の税金の金額にも影響してくるのです。

これらの通知は、修正申告をしてもすぐには届きません。税務調査のことをいったん忘れかけた頃である数か月後に届きます。また、全体がわかっていないと「他にもあるのではないか」と不安になるでしょう。個人の方が所得税や消費税の追徴税額以外に影響してくるものを理解しておきましょう。

 

税務調査があったときの個人住民税や個人事業税などへの影響

税務調査が入り、税務署の言うとおりに税金を支払ったとしてもそれで終わりではありません。所得税の修正申告のデータが、税務署からお住いの市町村役場に送られます。そして、住民税や事業税など他の税金の金額にも影響してくるのです。

すべて納めなければならないものですので、修正申告をするときは、所得税や消費税以外の諸税等の影響のことも考えておかなければなりません。

 

住民税

所得が増えると、住民税の所得も増え、それに応じて住民税の所得割額が増加します。

住民税の所得割税率は10%ですから、例えば、過去3年の税務調査が行われ、修正申告をした結果、合計900万円の所得が増えた場合にはその10%である90万円程度の住民税を追加で支払わなければなりません。(所得税と住民税では、課税所得金額の計算が異なるため、正確ではありません。)。

住民税には、過少申告加算税や無申告加算税・重加算税といったペナルティはありませんが、延滞期間に応じた延滞金はかかります。

 

個人事業税

個人事業税の額は次のように計算します。

個人事業税の額=(所得の額-290万円)×税率(5%など業種ごとに異なる)

もともと個人事業税の課税対象事業者であった場合で、合計900万円の所得が増えた場合にはその5%である45万円ていどの個人事業税を追加で支払わなければなりません。

また、修正申告をした結果、所得の額が免税点の290万円を超えることとなった場合は、追加で事業税もかかることとなります。

個人事業税も、住民税と同じように加算税はありませんが、延滞金はかかります。

 

国民健康保険料・国民健康保険税

国民健康保険料や国民健康保険税も、所得を基準に金額が決定される部分があるため、修正申告をした結果、所得が増えると、追加で支払わなければならないこととなります。

なお、国民健康保険料の時効は一般的に2年とされています。つまり、修正申告をして、3年以上前の所得が増加したとしても、国民健康保険料は2年分の支払いのみで済むこととなります。一方、国民健康保険税の時効は3年とされています。

国民健康保険料や国民健康保険税の変更通知は、通常、税務署に修正申告をしてから、3~4カ月後に届きます。

 

児童手当、児童扶養手当など

児童手当や児童扶養手当といった地方自治体から支給される手当で、所得によって金額が変わるものも修正申告の影響を受ける可能性があります。修正申告をした結果、所得が変われば、手当の金額が変更されたり、返還を求められたりすることとなります。

 

個人住民税や個人事業税などを支払うことができないときの対応方法

個人住民税や個人事業税の変更の通知には通常、納付期限が記入されています。

納付期限までに一括で支払うことができないときは、地方自治体の窓口に行って、個別に相談してください。個別の事情に応じて分割払いを認めてくれたり、場合によっては納税の猶予や減免申請という手続きをすることもできます。

支払わずに放っておくと、財産の差し押さえなどを受ける可能性があります。必ず相談に行くようにしましょう。

 

まとめ

税務署は、所得税や消費税、加算税の金額は教えてくれますが、その他の諸税等のことは教えてくれません。所得税や消費税は支払うことできたとしても、その後にもまだ追加で支払わなければならない諸税などがあることを忘れないようにしましょう。