税務調査で生じた税金(追徴税額)を支払えない場合はどうすればよい?

税務調査によって生じた税金(追徴税額)を支払えない場合もあるでしょう。そのような場合はどうすればよいのでしょうか?税理士がポイントを解説します。 Contents1 税金は一括払い … 続きを読む 税務調査で生じた税金(追徴税額)を支払えない場合はどうすればよい?

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税務調査によって生じた税金(追徴税額)を支払えない場合もあるでしょう。そのような場合はどうすればよいのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

税金は一括払いが原則

税務調査によって追徴税額が生じたときの税金は、原則として一括で支払わなければなりません。よって追徴税額が生じたときの税金は、原則として一括で支払わなければなりません。この税金の本来の納付期限は、当初の申告期限です。例えば、個人の方で、2016年分の所得税であれば、2017年3月15日が納付期限となりますから、それ以降、実際に納付をするまでの間は延滞税がかかることとなります。そのため、一括でできるだけ速やかに納める必要があります。

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税金の支払いを放っておくとどうなる?

税務調査で過去数期間分の申告誤りを指摘された場合などは、追徴税額が多額となり、一括で直ちに払うことができないこともあるでしょう。支払うことができないからといって、税金の支払いを放っておくとどうなるのでしょうか?

税務調査により生じた追徴税額を支払うことができないからと放置してしまうと、税務署は督促をした後、資産の差押えの滞納処分を行うこととなります。税務調査で、どこの金融機関に口座があるのか、得意先はどこなのか、どのような資産を持っているのかは掴んでいます。銀行口座を差押えされたり、得意先の売掛金を差押えされると、事業を継続することが難しくなります。

国税徴収官は、裁判所の令状がなくても、財産の捜索や差押えをする強い権限を持っていますので、税金の滞納は決して甘く考えてはいけません。

 

税金(追徴税額)を支払えない場合はどうすればよい?

税金を一括で支払えない場合は、納税の猶予を受けることができる場合があります。納税の猶予を受けることができないときは、税務署の徴収部門に行き、個別に支払方法について相談するようにしましょう。

 

納税の猶予とは?

期限までに納税することができないときには、納税の猶予という制度があります。

納税の猶予を受けることができるのは、次のAからFまでのいずれかに該当する事実があり、国税を納付することができないと認められた場合で、原則として、担保を提供することが必要です。

A 財産が災害や盗難にあったこと
B 納税者や家族が病気にかかったり負傷したこと
C 事業を廃業・休業したこと
D 事業について著しい損失を受けたこと
E 上記のAからDに類する事実があったこと
F 本来の期限から1年以上経過後に、修正申告などで納付税額が確定したこと

納税の猶予が認められると、一年間の期間で、分割して支払うことができます。また、猶予期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。担保となる資産があり、一年以内の分割であれば納税できる場合は、納税の猶予の申請をするとよいでしょう。

なお、やむを得ない事情によって猶予期間中に完納することができないときは、猶予期間中に申請することで、猶予期間を最長二年間(当初の一年間を含む)までの延長が認められることもあります。

 

税務署に納税方法を相談するときはどうすればよい?

税務署の徴収部門に行き、事情を説明すれば、分割での支払い等を認めてくれることがあります。相談する際は、財産の状況や裏付けのある支払計画を用意しておきましょう。裏付けのある支払計画とは、毎月の収支状況を明らかにし、個人であればそこから生活費などを差し引いた無理のない支払計画です。例えば、〇ヶ月後に得意先から入金されるから、〇ヶ月後に一括で納付します、というような相談も可能です。

税務署としても、差押えなどの滞納処分をして、事業を廃止せざるを得ない状況に追い込むことは本望ではありませんから、支払いの意思と合理的な納税計画を示せば、分割での納税を認めてくれることがあります。ただし、この場合は、分割での納税期間中は延滞税がかかります。

なお、税務署と一度合意した納税計画どおりに支払うことができなくなった場合は、すぐに、再度税務署に相談するようにしましょう。

 

まとめ

税務調査によって生じた税金(追徴税額)を支払えない場合の対応方法について解説しました。放っておくと絶対によいことはありませんので、必ず税務署に相談するようにしましょう。また今回解説したのは国税の話ですが、税務調査で追徴税額が生じた場合は、国税以外にも住民税や事業税が生じることとなります。それらについても納税の方法を考えておく必要があります。