税務当局の仕組み

税務当局の仕組み

財務省の中に税金(国税)の賦課・徴収を行う行政機関として国税庁が設けられています。
国税庁の下には、大阪国税局や東京国税局など全国に11の国税局と沖縄国税事務所が設けられています。
さらに国税局・沖縄国税事務所の下に税務署が設けられています。例えば、大阪国税局の管轄には83の税務署が置かれています。この税務署が、税金(国税)の賦課・徴収を行う第一線の執行機関となります。法人の場合は、資本金が1億円超の法人については、通常、法人税や消費税は国税局が管轄しますが、その他の法人や個人は、通常税務署が管轄します。税務署の中には、管理運営部門、徴収部門、個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門など役割に応じた部門が設けられています。

税務調査が行われる場合、管轄の部門(例えば、個人であれば、税務署の個人課税部門)から電話で連絡が入ることでしょう。いわゆるマルサは、国税局の査察部門のことです。査察部門は重大な脱税事案などを扱い、強制捜査を行うことができます。何もやっていなければ突然マルサが来ることはありませんので心配しないでください。

税務調査の流れ

1.事前通知

通常は、税務署から事前に「○月○日に実地調査を行わせてもらいます。」という電話連絡が入ります。無申告の場合などは、税務署の職員が直接自宅や会社を訪れることもあります。
電話を受けたら、税務署名、部署名(個人○部や法人○部など)、担当者名をメモに記録し、「税理士と相談してから折り返し電話します。」と伝えましょう。

2. 質問検査(実地調査)等

実地調査は、質問検査権に基づいて行われます。税務署等の質問検査権に納税者は原則として応じなければなりません。そのため、一旦、税務調査が行われることが決まったら、調査を避けることはできません。
個人の場合や小規模の場合は、実地調査日の当日に2~3名の税務職員がやってきます。事業の内容を質問されたり、帳簿や領収書・請求書・給与台帳などといった関係書類を閲覧されたりして、申告した内容に問題が無いかどうかを確認していきます。多くの場合、実地調査は1日~3日で済みます。

3.調査結果の説明、修正申告等の勧奨

多くの場合、実地調査だけでは終わりません。税務署側は、実地調査で集めた情報や書類を持ち帰って税務署内でも検討します。また、納税者側は実地調査のときに不足していた資料などがあれば準備をして追加で提示します。
一通り資料が集まり、税務署でも検討が終わると、税務署側と納税者(税理士)で打合せをし、税務署側の見解を告げられます。税務署側の見解に納得できなければ、追加で資料を揃えるなどして納税者側(税理士)の見解を伝え、折衝を繰り返します。過去の申告に誤りなどがあった場合は最終的には修正申告等の勧奨を受けることとなります。

4.修正申告等 or 更正の決定

過去の申告に誤りがあり、税務署の見解を受け入れる場合は修正申告(納めた税金が少なかったとき)または更正の請求(納めた税金が多かったとき)を行います。納得できないときは、納税者は修正申告も更正の請求も行いませんが、税務署が更正処分を行い一方的に課税してきます。更正処分に対しては、税務署長への異議申し立てや国税不服審判所への不服申し立て、裁判所への税務訴訟を行い、その処分について争うことができます。

税務調査で問題がみつかったとき

税務調査で問題がみつかったときは、調査官が修正申告などをすることを勧奨してきます。修正申告とは、自発的に当初申告を修正するための申告です。事実関係に間違いがなければ、勧奨に従って、修正申告などをするのがよいでしょう。
 修正申告しなかった場合は、更正が行われることとなります。これは税務署長が職権で申告内容を正す手続きで、正された申告内容に基づいて納税などをしないといけません。
 いずれにしても、問題がみつかったときは、正しい申告内容に是正されることとなります。

税務調査の結果に納得いかないとき

 修正申告をすると、調査結果に納得がいってなかったとしても、その後、異議申立などをすることはできません。あくまで自発的に修正した内容で申告しているためです。
 そうではなく、更正が行われ、それについて納得がいかないときは、税務署長に対して不服申立をすることができます。不服申立が聞き入れられなかったときは、国税不服審判所に対して不服申立をしたり、税務訴訟(裁判)をすることで、より客観的で公平な判断を仰ぐことができます。