重加算税とは?税務調査で重加算税が適用されるのはどんなとき?

税務調査で申告漏れ等が見つかると重加算税を課せられることがあります。重加算税は高い割合なのでできれば回避したいものです。今回はどのようなときに重加算税が適用されることになるのかにつ … 続きを読む 重加算税とは?税務調査で重加算税が適用されるのはどんなとき?

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税務調査で申告漏れ等が見つかると重加算税を課せられることがあります。重加算税は高い割合なのでできれば回避したいものです。今回はどのようなときに重加算税が適用されることになるのかについて税理士がポイントを解説します。

 

重加算税とは?税務調査で重加算税が適用されるのはどんなとき?

税務調査で申告漏れ等が見つかり追徴税額が生じた場合には、本来納めるべき税額に加えて加算税が課せられます。通常は、過少申告加算税となりますが、悪質な場合には重加算税が課せられることとなります。

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この重加算税が課せられるのは、国税通則法第68条第1項で「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」と規定されています。

仮装とは帳簿書類を改ざんしたりすること、隠ぺいとは帳簿書類を隠したりすることをいいます。

国税通則法では具体的にどのようなときに仮装・隠ぺいがあったとするかまでは定められていません。これについては、国税庁長官が全国の国税局等に対して示した事務運営指針「法人税の重加算税の取扱いについて」において、次のように定められています。

(1) いわゆる二重帳簿を作成していること。
(2) 次に掲げる事実があること。
1 帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿していること。
2 帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っていること。
3 帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は棚卸資産の除外をしていること。
(3) 特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。
(4) 簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。
(5) 簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出していること。
(6) 同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。

例えば、事実とは違う架空の請求書を作って、架空経費を計上していたようなときは、仮装行為ということとなります。

一方で、同事務運営指針では、売上や経費の期ずれ、棚卸資産の過少評価、交際費や寄付金を他の費目で計上していた場合については、仮装・隠ぺい行為にはあたらない、というように定めています。

 

重加算税は回避できる?

重加算税の対象となるかどうかは、内容や金額等を総合的に判断して決められます。
仮装・隠ぺい行為があったとしても、金額的に軽微であったり、それが意図したものではなくミスに近いようなものであれば、重加算税を回避することができる可能性はあります。
税金逃れを目的として行ったのでなければ、その旨やそれが起こった理由をできるだけ正確に税務調査官に伝えるようにしましょう。
重加算税を賦課するときは、納税者に対して理由を説明することが必要です。明確な理由がなければ、税務署としても重加算税の対象とすることはできません。

 

重加算税の対象となるときは質問応答記録書が作成されることがある

仮装・隠ぺい行為があった場合に重加算税の対象となりますが、単なる誤りなのか仮装・隠ぺい行為であったのかは明確に判別できないようなケースもあります。そのため、重加算税の対象となる可能性があるときは「質問応答記録書」を作成されることがあります。

質疑応答記録書は、税務調査官からの質問とそれに対する納税者からの回答を取りまとめた書類で、税務調査官が作成します。
例えば、「なぜ売上を計上していなかったのか?」という質問に対して、納税者が「税金を減らすため」と回答すれば、それが記録され、最後には納税者の署名・捺印が求められます。
このように記録を残すことによって、税務署側は、重加算税の対象とした根拠とするのです。また、後に納税者から不服申立て等があった場合にも備えることができます。

質疑応答記録書に署名・捺印する前には内容を確認することができますので、しっかりと確認し、事実と違うこと、申述したことと違うことが記載されていれば、明確に否定するようにしましょう。なお、質疑応答記録書への署名・捺印は強制されるものではなく、任意のものです。

ただし、質問応答記録書への署名・捺印を拒否したからといって、それで重加算税を回避できる訳ではありません。事実と相違なければ、ここで争っても時間の浪費に終わる可能性があります。

 

重加算税を課せられたときの影響、加重措置とは?

重加算税を受けるということは仮装・隠ぺい行為という一種の不正行為があったということになるため、今後、税務調査が入る可能性は高くなるでしょう。

また、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の加重措置が設けられており、5年以内に同じ税目に対して重加算税を課されたことがある場合には、重加算税の割合が10%上乗せされることとなります。

 

まとめ

重加算税とは?重加算税が適用される場面などについて解説しました。重加算税かどうかが問題となる場合とは、比較的大きな問題が見つかった場合であると言えるでしょう。ご自身で対応を誤ることにより重加算税となってしまう可能性もあります。重加算税について理解を深めた上で税務調査に臨んでください。ご自身での対応が難しいときは税務調査・期限後申告相談センター(運営:みんなの会計事務所)までお気軽にご相談ください。