個人の所得税等に対する税務調査や法人の法人税に対する税務調査が行われるとき、通常はその対象期間は1年分(1期分)とはなりません。では、何年分遡って調査されることになるのでしょうか?税理士がポイントを解説します。
税務調査では3年分遡られることが多い
税務調査を行うにあたっては、原則として、税務当局は調査対象税目と対象期間について事前通知をしなければなりません。このときの対象期間は、個人事業主の場合は3年、法人の場合は3期となることが多いです。
税務調査は毎年行われるものではありません。調査に来る以上は、1年分(1期間)見て終わりということにはなりません。一方で、税務調査には期間の制限があって調査できる範囲が限られますので、3年分(3期間)程度が適当ということなのでしょう。
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税務調査を進めていく上でもっと遡ることがある
通常は事前通知で調査対象とした期間の調査が終われば、それで終わりとなります。しかし、調査対象期間(3年分など)の調査をした結果、それ以前の申告が明らかに誤っていることが判明したような場合には、調査対象期間が拡大される可能性があります。
「事前通知では対象期間を3年(3期間)と言っていたのだからおかしいではないか!?」と思われるかもしれませんが、その反論は無意味です。税務調査官がそれ以前の期間も対象とした調査を行う旨を通知すれば、手続き上は問題がないこととなるからです。
最大何年分遡られる?
では、税務調査では、最大で何年分まで遡られることとなるのでしょうか?
国税通則法 第70条で、税金の時効(正確には、更正、決定等の期間制限)が定められています。
つまり、税務当局が行う処分には期間制限があるのです。そのため、何年分でも遡って調査対象とすることができる、という訳ではありません。
法人税や所得税、消費税の場合の更正、決定等の期間制限は、法定申告期限から5年とされています。そのため、通常の税務調査で遡及する年数は、個人事業主の場合で5年、法人の場合で5期までとなることがほとんどでしょう。
ただし、偽りや不正があったときについては、それよりも長く設定されており、法定申告期限から7年まで遡ることができることとされています。偽りや不正があったときとは、単なる申告の間違いではなく、意思をもって脱税をしようとしたときなどが該当します。脱税をした場合は、7年まで遡及されることとなります。
まとめ
税務調査で何年分遡られるかについて解説しました。通常は個人事業主の場合で3年から5年、法人の場合で3期から5期まで遡及されます。その間の帳簿書類は、手元でしっかりと保存しておくようにしましょう。なお、帳簿書類の保存期間は別に法律で定められていますので、そちらも確認しておいてください。税務調査でお困りのときは税務調査・期限後申告相談センター(みんなの会計事務所)にお気軽にご相談ください。