今回はちょっと珍しいたばこの手持品課税の税務調査を紹介します。
弊所としても初めて対応した案件でした。
たばこの手持品課税とは?
たばこ税の税率が引き上げられるタイミングで、たばこを20,000本以上所持しているたばこの販売事業者は、定められた期限までに「たばこ税の手持品課税申告書」を提出し、納税する必要があります。
直近では2018年10月1日0時時点で所持しているたばこについて、2018年10月31日までに申告をして、2019年4月1日までに納付する必要がありました。
また、2020年10月1日、2021年10月1日にもたばこ税の税率引き上げがあるため、同様にたばこ税の手持品課税の申告と納税が必要となります。
いずれも、1本あたり国税0.5円、地方税0.5円の計1円の引き上げが行われます。
つまり、たばこ販売事業者が課税時点で20万本のたばこを所持していた場合には、20万円が課税されることとなります。
(国税庁)平成30年10月1日実施のたばこ税の手持品課税について
たばこの手持品課税の税務調査の対象はどのようにして選ばれる?
弊所としても初めて対応した案件でしたので税務調査官に「このような税務調査を頻繁に行っているのか?」と聞いてみたところ、「基本的にはコンビニエンスストアなどを想定していて、一般事業者にたばこ税の税務調査を行うことはあまりない。今回の税務調査にあたって自分でも勉強した。」というような回答でした。
税務署内でもたばこ税の課税に関する研修が行われており、法人課税部門や個人課税部門でたばこを取り扱っている事業者がピックアップされ、間接諸税担当に引継ぎされるのではないかと想定されます。その後、間接諸税担当は申告されているかどうかを確認した上で、
申告されていないケースや決算内容と申告に乖離があるケースをピックアップして、税務調査対象として選定したのでしょう。
たばこの手持ち品課税の税務調査はどのように行われる?
弊所で対応した案件は、たばこの輸出を行っている事業者でしたが、たばこの手持品課税の申告は行っていませんでした。
まず、税務調査官より、事業の概況や保持している書類について質問がありました。
次に、9月30日時点の棚卸明細を提出しました。そして、棚卸明細と9月30日付近の仕入台帳や納品書と照らし合わせて、その時点で何カートン所有しているかどうかを大まかに推測され、カートン数×20本でおおよその課税金額が伝えられました。
しかし、たばこ品の手持品課税は、0時時点で所有しているものとされているため、例えば0時までに出荷してトラックで配送中であれば、納入先で申告と納税をする必要があります。
そのため、推測と課税本数は厳密には一致しないこと、実際に現時点で事業所内で保管しているたばこはそれほど多くないこと、電子たばこを取り扱っており、電子たばこは紙巻たばこよりも課税金額が低いこと、などの反論をしました。
その結果、税務調査官は「それぞれ根拠があれば検討します。」となりましたが、今回は納税者の方が早期に妥結することを望んだため、税務調査官が推計したとおりの金額で申告と納税をすることとなりました。
なお、たばこ税の手持品課税についても、他の国税と同様に、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されることとなります。
まとめ
たばこ税の手持品課税の税務調査について紹介しました。コンビニエンスストアなどでは本部から指導が入るのでしょうが、そうでない事業者は申告と納税を忘れがちではないでしょうか?しかし、税務署は、所内で連携してしっかりとチェックしているようです。たばこ税の手持品課税は今後も予定されているため、申告と納税は忘れないようにしましょう。