税理士の書面添付制度を利用すれば税務調査の頻度が減る?

税務調査の頻度は少ない方がありがたいですよね。 では税務調査の頻度を減らす方法はあるのでしょうか? 正しい申告と納税を続け、税務調査で問題が見つからなければ、それ以降、税務調査が行 … 続きを読む 税理士の書面添付制度を利用すれば税務調査の頻度が減る?

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税務調査の頻度は少ない方がありがたいですよね。
では税務調査の頻度を減らす方法はあるのでしょうか?
正しい申告と納税を続け、税務調査で問題が見つからなければ、それ以降、税務調査が行われる頻度を減らすことができるでしょう。また、税理士の書面添付制度を活用することにより税務調査の頻度が減る可能性もあります。今回は税理士の書面添付制度について解説します。

1.税理士の書面添付制度とは?

税理士の書面添付制度とは、税金の申告書と合わせて税理士の意見書のようなものを添付することができる制度です。税理士法第33条の2第1項によりこの制度が定められています。

その申告にあたって、税理士が検討した事項や決算における特有の事項などを予め書面にまとめて提出することによって、税務署はそれをもとにした判断をすることができます。

例えば、不動産の売買などを行うと税務上の論点がいくつか出てきますが、それについて税理士が「このような検討を行い、こうなりました」ということを記載した書面を提出しておきます。そうすると、税務署は「税理士が検討済みであればある程度の信頼性はあるだろう。」というように考えることができます。その結果、税務調査をしなくても大丈夫だろう、と判断されれば、税務調査が行われなくなります。

また、書面添付制度を利用している場合は、原則として、税務調査に先立って税理士に対する意見徴収が行われます。意見徴収では、税務署が考えている問題点について税理士が意見を述べることができます。その結果、税務署が考えている問題点が解消されれば、税務調査を行わない、という判断がされることがあります。

このように税理士の書面添付制度を活用していれば、事前に税務署の疑問点を解消したり、意見徴収の際に解消したりすることができるので、結果として税務調査の頻度を減らすことに繋がるでしょう。

2.添付書面にはどんな事項が記載される?

添付書面(税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面)には次のような事項を記載します。

①自ら作成記入した帳簿書類に記載されている事項
税理士が申告書の作成にあたって作成した帳簿書類の名称とそれを作成するために利用した書類の名称を記載します。

②提示を受けた帳簿書類に記載されている事項
税理士が申告書の作成に当たって納税者から提示を受けた帳簿書類の名称を記載します。

③計算し、整理した主な事項
税理士が計算し、整理した主な事項や顕著な増減事項、のうち会計処理方法に変更等があった事項を記載します。
例えば、売上であれば、「請求書控・検収書・売上帳をもとに、検収基準により適正に計上されていることを確認した」などと記載します。また、ある勘定科目に顕著な増減が見られた場合は、その原因を記載します。

④相談に応じた事項
税理士が納税者から重要な相談を受けた際に、その相談の要旨を記載します。

⑤その他
総合所見を記載します。ここには、税理士の関与状況、帳簿の保存状況、納税者の税務に対する姿勢・認識、内部けん制の状況などを記載します。

税務署では税務調査の前に必ずこの添付書面(税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面)を確認します。申告書上の疑問点がこの添付書面により解消されれば、税務調査が省略される可能性が高まります。

まとめ

書面添付制度は税理士の信頼性の下に成り立っている制度です。そのため、通常は、顧問契約を締結し、お客様の税務上の論点を税理士が先立って検討し、正しい税務処理を行った場合に活用することができるものです。お客様が税務調査を省略させるためだけに「このように記載してごまかして欲しい」と税理士に依頼してもそれは認められません。税理士と日頃からコミュニケーションを取っておくことが、結果として税務調査の頻度を減らすことができる可能性があるのです。