せどりを行う個人事業者の税務調査のチェックポイント

「せどり」とは、希少性のある本などを安く仕入れて、ヤフオクやAmazon(アマゾン)などで高く転売することで、差額を利益とすることをいいます。当然、利益が出たら確定申告をして、税金 … 続きを読む せどりを行う個人事業者の税務調査のチェックポイント

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「せどり」とは、希少性のある本などを安く仕入れて、ヤフオクやAmazon(アマゾン)などで高く転売することで、差額を利益とすることをいいます。当然、利益が出たら確定申告をして、税金を納めなければなりません。

この「せどり」を行う個人事業者に対しても税務調査が行われることがあります。
今回は「せどり」を行う個人事業者に対する税務調査のポイントを税理士が解説します。

「せどり」を行う個人事業者に対する税務調査の主なチェックポイント

・売上の計上漏れはないか、期間帰属は正しいか?

「せどり」を行う個人事業者に税務調査が入るとき、その多くは、売上の計上漏れがあるのではないか、と税務署は疑っています。
税務当局にはインターネットビジネスを行っていて税逃れをしている個人や法人がないか常に目を光らせていて、Amazon(アマゾン)やヤフオクのサイトなどで取引量が多いのに、確定申告されていない先がないかということをチェックしていたりします。その他にもインターネット事業者から支払に関する情報を入手している可能性もあります。それらで得た情報をもとに、税務調査に来ている可能性が高く、まずは売上をチェックされるでしょう。

「せどり」を行う個人事業者の場合、売上代金はすべて銀行口座への振り込みが多いと思われます。そのため、まず、通帳を確認され、売上を押さえられることとなります。
もし、売上を管理するための帳簿を作成しているのであれば、調査官に見せた方がスムーズに進むと思われます。帳簿を見せなくても、遅かれ早かれ、売上はほぼ掴まれることとなるでしょう。それよりは、税務調査に協力する姿勢を見せた方がよいですし、帳簿をもとに調査をしてもらった方がスムーズに進み、早く終わる可能性があります。

売上は商品を販売した日に計上する必要があります。その年に入金がなかったとしても販売していればその年の売上に含めなければなりません。
また、Amazon(アマゾン)などの手数料が差し引かれて入金されている場合は、手数料差し引き前の金額を売上としなければなりません。

・仕入や経費はどれくらいあるか

銀行振込で入金される売上はすべて押さえられるでしょう。続いて、領収書をもとに仕入や経費を集計されることとなります。売上と同様に帳簿を作成しているのであれば、調査官に提示した方がよいでしょう。

仕入や経費を計上するには原則として、請求書や領収書を残しておかなければなりません。しかし、請求書や領収書を残していなかったときに仕入や経費がゼロになる訳ではありません。それを計上しないと税額がおかしく計算されるときは、何らかの根拠をもとにして仕入や経費を計上することが認められる場合もあります。
例えば、通帳の支払履歴やクレジットカードの明細などがあれば、仕入や経費として認められる可能性があります。
また、直近1年分の請求書や領収書は残っているが、それ以前の分は残っていない、というようなときであれば、直近1年分の原価率や経費率をもとに、仕入や経費を概算することが考えられます。
ただし、これは通常の方法ではありませんので、必ずしも認められる訳ではありません。
仕入や経費が認められないと多額の追徴税額が生じる可能性があるため、とにかく、残っている資料を集め、その中から合理的に説明できる根拠を見つけて、調査官に説明していくことが必要でしょう。

在庫(棚卸資産)の計上漏れはないか

「せどり」を行っている場合は、商品を仕入れて販売するため、年末時点で在庫(棚卸資産)として残っているものがあるはずです。これは在庫(棚卸資産)として計上しなければなりません。在庫(棚卸資産)を計上するというのは、仕入の一部が売上原価にならないということです。売上原価が少なくなった分、利益は多くなり、税金は増えることとなります。そのため、税務調査では、年末時点での在庫がたくさんあったのではないか、と見られることとなります。棚卸を行っていれば棚卸表、棚卸を行っていないときはシステム上の在庫残高などをもとに、年末時点での在庫残高を説明する必要があるでしょう。

経費は漏れなく計上する

仕入をするために自家用車を利用している場合は、車両費やETC料金、ガソリン代などが必要経費となります。また、自宅の一部を作業場や倉庫にしているときは、賃料や光熱費の一部を必要経費とすることができます。Amazon(アマゾン)などに支払う手数料やシステムの利用料なども忘れないようにしましょう。

消費税の課税事業者とはならないか

基準期間(個人事業主の場合は2年前)の課税売上高が1千万円を超えるときは消費税の課税事業者となります。この場合は、消費税も課税されることとなります。
この消費税も経費となりますが(税込処理の場合)、個人事業主の方で、消費税について追徴課税されるときは実際に消費税を支払った年の経費となります。
税務調査の対象期間の経費とはならないため、その期間の所得は多く計算されることとなってしまいます。税務調査で問題が見つかるといろんな面で不利な取扱いを受けることになってしまうのです。

まとめ

「せどり」を行う個人事業主に行われる税務調査のチェックポイントを解説しました。
もし、これまで申告をしていなかったときは、早く漏れなく売上や仕入、経費をまず自身で集計しておく必要があるでしょう。税務調査で、調査官は独自に売上や仕入、経費を集計します。そのとき、自身で集計した資料がなければ、調査官の集計が正しいのかどうかがわからないこととなってしまうからです。
弊所でも「せどり」を行う個人事業主に対する税務調査の対応実績はありますので、不安や不明点があるときはお気軽にご相談ください。また、「せどり」を行う個人事業主の方の確定申告もサポートしています。