税務調査はどれくらいの頻度で行われるの?

税務調査はどのくらいの頻度で行われるのか、気になりますよね。 今回は税務調査が行われる頻度について税理士が解説します。 税務調査の対象先はランダムに選ばれるものではありません。 業 … 続きを読む 税務調査はどれくらいの頻度で行われるの?

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税務調査はどのくらいの頻度で行われるのか、気になりますよね。
今回は税務調査が行われる頻度について税理士が解説します。

税務調査の対象先はランダムに選ばれるものではありません。
業種、業態、事業の規模などを総合的に判断して選ばれることとなります。
税務署には過去の税金の申告書や決算書の決算情報、法定調書(支払調書)や一般取引資料せんなどの取引情報など膨大なデータが集まっており、それらをもとにして、税務調査の対象先を選んでいます。
そのため、10年、20年と税務調査が行われないこともあれば、数年に一度のペースで税務調査が行われることもあります。
つまり、税務調査の頻度について明確な答えはないこととなります。

とはいっても、税務調査が行われやすい会社(個人事業主)、行われにくい会社(個人事業主)というのはあります。

税務調査が行われにくい会社や個人事業主

創業から間もない個人事業主、設立から間もない会社

創業から間もない個人事業主、設立から間もない会社は、まだ事業規模も小さく、赤字であることも多い創業期に税務調査が入る可能性は低いでしょう。税務調査を行っても、追徴税額が生じる可能性が低いからです。
順調に事業の規模が大きくなっている場合、創業から3~5年程度経過したタイミングで初めての税務調査が行われる、ということがあります。

過去の税務調査で大きな問題がなかった会社

一度税務調査が入って問題が見つからなかった会社や個人事業主は、その記録が残っていますので、税務調査の選定の際に考慮されます。結果として、税務調査の対象として選ばれる確率は通常よりも低くなるでしょう。

赤字の会社

赤字の会社も税務調査は行われにくいと言えるでしょう。ただし、消費税や源泉所得税は赤字でも発生するので、消費税や源泉所得税の税務調査が行われる可能性はあります。

税務調査が行われやすい会社や個人事業主

過去の税務調査で問題が見つかった会社

過去に税務調査が行われた際に問題が見つかり追徴税額が生じた場合は、その後も同様の問題が生じていないかを確認するために税務調査が行われる可能性は高まるものと考えられます。

一般的に不正が多いと考えられる業種の会社や現金商売の会社

一般的に不正が多いと考えられる業種の会社や現金商売の会社等については、不正を行っていないか確認するために税務調査が行われる可能性は高まります。なお、大阪国税局が発表した「平成28年事務年度における法人税・消費税の調査事績及び源泉所得税等の調査事績の概要」という資料によれば、平成28事務年度で、大阪国税局管内(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)で不正発見割合の高い10業種として、パチンコ、廃棄物処理、医療保健、その他の飲食、土木工事、貨物自動車、一般土木建築工事、電気・通信工事、建築工事、自動車修理が挙げられています。

事業が急成長している会社、新事業が行われる会社、財務数値に顕著な増減が見受けられる会社

事業が急成長している会社や新事業が次々と行われる会社については、新しい取引等について正しく処理されているかどうかを確認するため、どこかのタイミングで一度税務調査が行われる可能性があります。
また、財務数値に顕著な増減が見受けられる会社についても、その原因を確認するために税務調査が行われる可能性があります。財務数値に顕著な増減が見受けられる場合には、税理士に書面添付制度を活用してもらうことにより、税務調査の頻度を減らすことができる可能性があります。

前回の税務調査から期間が空いている場合

税金の時効は通常5年(最大7年)であるため、一般的には3年~5年のサイクルで税務調査が行われる、と言われています。10年、20年と税務調査が行われない会社もありますので、一概には言えませんが、前回の税務調査から期間が空いている場合には、税務調査が入る可能性は高いといえるでしょう。

なお、消費税の還付申告や欠損金の繰戻しによる還付をすると税務調査が行われる、と言われることがありますが、必ずしもそうではありません。還付の際は、税務署内で申告内容について慎重に審査されることとなりますが、税務調査が行われるかどうかはまた別の話です。

まとめ

税務調査が行われる頻度について解説しました。税務調査の対象先はランダムに選ばれる訳ではありません。そのため、実際にどれくらいの頻度で税務調査が入るかはわかりません。いつ税務調査が入っても大丈夫なように日ごろから経理処理、税務処理を行っておくのが何より大切と言えるでしょう。