税務調査で仕入税額控除を否認されないようにするために!

税務調査で怖いことの一つに仕入税額控除を否認されることがあります。仕入税額控除を否認されると、消費税の追徴課税が大きく増える可能性があります。税務調査で仕入税額控除を否認されないよ … 続きを読む 税務調査で仕入税額控除を否認されないようにするために!

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税務調査で怖いことの一つに仕入税額控除を否認されることがあります。仕入税額控除を否認されると、消費税の追徴課税が大きく増える可能性があります。税務調査で仕入税額控除を否認されないようにするため、仕入税額控除の適用要件を理解して備えるようにしておきましょう。

 

仕入税額控除とは?仕入税額控除の適用を受けるための要件は?

消費税は、原則として、課税売上に係る消費税(お客様や得意先から受け取った消費税)から課税仕入に係る消費税(仕入先等に支払った消費税)を差し引いた金額を基にして、納税額を計算します。この計算の中で、「課税仕入に係る消費税を差し引くこと」を仕入税額控除といいます。

 

この仕入税額控除の適用を受けるためには、次の2つの要件を満たしている必要があります。

①必要な事項が記載された帳簿を作成し、保存していること

②請求書や領収書等を保存していること

帳簿は、一般的には総勘定元帳を指します。この総勘定元帳に、支払った相手方の氏名・名称、課税仕入れを行った年月日、購入した資産や提供を受けた役務の内容、金額の4つの事項を記載しておく必要があります。

ただし、支払額(税込金額)が30,000円未満の場合には、必要な事項を記載して帳簿を作成・保存していれば、請求書や領収書はなくてもよいこととされています。また、支払額(税込金額)が30,000円以上であっても、やむを得ない理由がある場合は、帳簿にその旨や相手先の住所・所在地を記載しておけば、仕入税額控除を適用することが認められています。

 

仕入税額控除についてもっと知りたい方へ

(みんなの会計事務所)消費税の仕組みを理解しよう!仕入税額控除とは?その要件は?

 

税務調査でのチェックポイント

税務調査が入ると帳簿や請求書等をチェックされることとなります。チェックされた際に、帳簿に必要な事項が記載されていないことが判明したり、請求書や領収書が保存されていないことが判明すると、仕入税額控除を否認される可能性があります。

もし、仕入税額控除が否認されたら、仕入先や外注先、経費として支払った消費税を控除することができなくなり、多額の追徴税額が生じる可能性がでてきます。

架空経費などではなく、実際に仕入先や外注先に対して支払ったものであったものなのに、形式的な不備によって仕入税額控除が否認され、多額の追徴税額が生じるのはもったいないですよね。

しかし、適切な帳簿や請求書等の保存が仕入税額控除の適用要件として法律で決められている以上、それをしていない場合は国税不服審判所や裁判で争っても勝つ見込みは低いでしょう。

 

税務調査で問題のないようにするためにはどうすればよい?

税務調査で問題のないようにするためには、決算の都度、会計帳簿に記載が必要な事項がきちんと記載されているかをチェックしておきましょう。必要事項が記載されていなければ帳簿を修正しておかなければなりません。

 

また、請求書や領収書が揃っているかどうかについてもチェックしておく必要があります。

クレジットカード会社が発行するクレジットカード明細は請求書や領収書の代わりとはなりません。しかし、クレジットカード利用時に利用した店舗等で発行されるクレジットカード利用明細が残っていれば、請求書や領収書の代わりとして用いることができます。

それでも、請求書、領収書、クレジットカード利用明細も残っていなければ、仕入先や外注先などから、再発行してもらいましょう。事実に基づく再発行は仮装や隠ぺい行為ではありません。なお、再発行されたものはそのことがわかるように「再発行」と記載してもらっておいた方がよいでしょう。

特にこれまで申告をしておらず、帳簿も作っていない、書類も捨ててしまったというときは、多額の追徴税額となる可能性がありますので、注意が必要です。

少しでも仕入税額控除が認められるように、残っている請求書や領収書等を探し出しておきましょう。クレジットカード会社が発行するクレジットカード明細は請求書や領収書の代わりにはなりませんが、取引内容がわかれば帳簿は作成することができますので、帳簿を基にして、部分的に仕入税額控除の適用を認めてもらうことができる余地はあるのではないかと思われます。

 

まとめ

税務調査で仕入税額控除が否認されるケースについて解説しました。実際に帳簿の記載要件を満たしていないなど形式的な不備で仕入税額控除が否認されるケースもあります。本来、支払わなくてもよい消費税を支払うことにもなりかねませんので、仕入税額控除の適用要件については注意しておきましょう。