再調査の請求はどれくらいの割合で認められる?(国税局の報道発表資料より)

国税庁は「平成29年度における再調査の請求の概要」という資料を公表しました。 この資料をもとに、平成29年度における再調査の請求の状況を解説します。 再調査の請求とは? 再調査の請 … 続きを読む 再調査の請求はどれくらいの割合で認められる?(国税局の報道発表資料より)

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国税庁は「平成29年度における再調査の請求の概要」という資料を公表しました。
この資料をもとに、平成29年度における再調査の請求の状況を解説します。

再調査の請求とは?

再調査の請求とは、更正や決定(課税処分)や差押えなどの滞納処分といった税務署長が行った処分に不服があるときに、税務署長に対して処分が正しかったかどうかを調査・審理するように請求する手続きのことをいいます。処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署長に対して「再調査の請求書」を提出することにより行います。

平成27年度以前は、「意義申立て」と言われていましたが、不服申立制度の改正により「再調査の請求」に改められました。

税務署長が行った処分に不服があるときは、再調査の請求の他に、国税不服審判所に対する不服申立てという手続があります。

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平成29年度の再調査の請求の発生状況や処理状況について

平成29年度における再調査の請求の発生件数は1,814件となっています。前年(平成28年度)が1,674件ですので、8.4%増加しています。

なお、平成27年度は3,200件の再調査の請求が行われています。これからすると、平成28年度、平成29年度は大きく減少していますが、これは税制改正により、再調査の請求を行わなくても国税不服審判所に対して不服申立をすることが可能となったことにより減少したものと考えられます。従前は、異議申立て(現在の再調査の請求)を行った後でなければ、不服申立をすることができませんでした。

平成29年度の再調査の請求の内訳は次のとおりです。
消費税等633件
所得税等598件
法人税等297件
徴収関係164件
相続税・贈与税98件
源泉所得税等24件

これに対して納税者の主張の全部が認められたのは40件、一部が認められたのは173件となっており、納税者の主張が何らかの形で受け入れた割合は12.3%となっています。
前年度の同割合が6.8%ですので、5.5ポイントも増加しました。

再調査の請求は、税務署長が行った処分について、税務署長に対して見直しを求めるという位置づけの手続きです。そのことからすると、12.3%の割合で、納税者の主張が認められるというのは意外に高いのではないでしょうか!?

一方で、一年間で行われた再調査の請求の件数が1,814件というのは、税務署長が行った課税処分、滞納処分の全件数に占める割合はとても低いものと考えられます。一定割合で、納税者の主張が認められていますが、これは、そもそも判断が覆る可能性がある案件についてのみ再調査の請求が行われているものであると考えらえます。

1割強も判断が覆るのなら、ダメ元でも再調査の請求をやってみようという判断は間違っていますので、注意してください。

なお、税務当局としても、再調査の請求に対しては迅速な処理を行うように努めており、処理件数のうち、96.6%は3か月以内に結果が出ているようです。

まとめ

国税局の報道発表資料をもとに、平成29年度の再調査の請求の状況を解説しました。納税者の主張が認められる割合を高いとみるのか、低いとみるのかは、判断が分かれるところです。しかい、全処分に対する認容件数で考えると、極めて狭き門であると言わざるを得ないでしょう。