税務調査で、交際費についてチェックをされることがあります。今回は、税務調査で交際費が否認されないためのポイントを税理士が解説します。
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交際費の税務上のルールを理解しよう!
交際費の税務上のルールの原則は「全額損金不算入」です。つまり、交際費を使っても、それは経費とはならず、税務上は否認しなければならないこととなります。
ただし、特例(租税特別阻止法)により、中小法人の支出する交際費等の額のうち一定額、接待飲食費の額の50%相当額などについては、損金算入することが認められています。
この取扱いは、中小法人と中小法人以外の法人で異なります。
中小法人の場合
①または②のどちらかを選択して適用します。
①年800万円まで全額損金算入
②社外飲食費について支出額の50%を損金算入(上限なし)
中小法人以外の法人
中小法人以外の法人の場合は、②のみ適用することができます。
②社外飲食費について支出額の50%を損金算入(上限なし)
社外飲食費とは、取引先等の社外の関係者が参加する飲食です。
1人あたりの支出額が5,000円以下の社外飲食費は交際費とならない
これらのルールとは別に、中小法人であるかどうかにかかわらず、1人あたりの支出額が5,000円以下の社外飲食費については、そもそも交際費には該当しません。
例えば、当社2名と取引先3名の5名で会食を行い、そのときの飲食代が24,000円であれば、一人あたりの支出額が4,800円(24,000円÷5名)となり、少額の社外飲食費となります。したがって、上限等にかかわらず、全額損金算入することができます。
税務調査で否認される可能性がある交際費とは?
税務調査で、次のような交際費が見つかると否認される可能性があります。
①社長等の私的な支出
交際費は、得意先や仕入先など事業と関係のある人に対して行う飲食などでの支出でなければなりません。そのため、社長などが友人・知人・家族と行った私的な会食、ゴルフなどは、交際費とはなりません。税務調査で見つかったときなどは役員報酬として認定され、損金不算入となる可能性があります。また、役員報酬となるため、社長などに対して所得税が課税されることとなります。
②帳簿書類への記載が不十分な交際費
これまで見てきたとおり、交際費は、誰と行ったのか、何人参加したのか、がポイントとなります。そのため、交際費を支出したときは次の事項を記載した帳簿書類(総勘定元帳や領収書など)を保存しておく必要があります。
少額(1人あたりの支出額が5,000円以下)の社外飲食費の場合
① 日付
② 参加した取引先等の氏名または名称及びその関係
③ 参加した者の数
④ その費用の金額、飲食店の名称及び所在地
⑤ その他の参考事項
交際費として処理する社外飲食費の場合
① 日付
② 参加した取引先等の氏名または名称及びその関係
③ その費用の金額、飲食店の名称及び所在地
④ その他の参考事項
②の参加した取引先等の氏名または名称及びその関係は、「会社名、部署、氏名、取引関係」を記載して、飲食等を行った相手方が社外の得意先等であることを明らかにしておかなければなりません。ただし、多くの人数が参加したときや一部の人の氏名等が不明な場合には、一部の方の氏名等を記載し、他○名というように記載しても問題ないとされています。
これらの帳簿書類への記載が不十分だと、社外飲食費等に該当しないものとして、税務調査で損金算入を否認される可能性がありますので、注意しましょう。
まとめ
少額飲食費または接待飲食費を損金算入するときのポイントを解説しました。中小企業の場合は、社長の個人的な支出を経費として処理していることが多くあります。そのため、交際費は、税務調査でもよくチェックされる項目ですので、これらのポイントを理解して、税務調査に備えておきましょう。特に帳簿書類への記載が不十分だったときは、税務調査前に慌てることとなります。忘れないように日頃から記録をつけるように習慣づけておくとよいでしょう。