税務調査と行政指導はどう違う?お尋ねの文書が届いたときの対応方法は?

税務調査以外にも行政指導として税務署等が納税者に連絡をしてくることがあります。この行政指導は、目的や性質が税務調査とは大きな違いがあります。今回は税務調査と行政指導の違いについて税 … 続きを読む 税務調査と行政指導はどう違う?お尋ねの文書が届いたときの対応方法は?

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税務調査以外にも行政指導として税務署等が納税者に連絡をしてくることがあります。この行政指導は、目的や性質が税務調査とは大きな違いがあります。今回は税務調査と行政指導の違いについて税理士が解説します。

税務調査と行政指導の違い

手続面の違い

税務調査とは、国税通則法74条の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)等の法律に基づいて、納税者の課税標準や税額等を認定するために、証拠資料の収集、事実認定、法令の解釈適用などが行われるものです。更正決定等を目的とした一連の行為も税務調査に含まれます。

一方、行政指導とは、申告書に計算ミスや記載ミス、法令の適用誤り等の誤りがあるものと考えられる場合に、納税者に対して自発的な見直しや追加的な情報提供を要請するために行われるものです。納税者はこの行政指導を受けて、自身で申告内容を見直しするなどして、誤りがあれば自発的に修正申告を行います。申告が必要かどうかを判断するために必要な情報を要請するために、行政指導がされることもあります。

このように税務調査が質問検査権という一種の強制性を伴って、税務調査官が納税者に対して直接質問をしたり、資料の閲覧等必要な手続きを行います。
それに対して、行政指導はあくまで自発的な見直し等を促すために行われるもので、税務当局が直接確認することはありません。この点で大きな違いがあります。

ペナルティの違い

税務調査で申告漏れ等の指摘を受けて修正申告をしたときには過少申告加算税が課されますし、無申告であったときは無申告加算税(50万円までは15%、50万円を超える部分は20%)が課せられます。

これに対して、行政指導に基づいて、納税者が自発的に修正申告をした場合には過少申告加算税は課されません。また、無申告加算税も、期限後に自主的に申告した場合の5%が課されることとなります。ただし、延滞税はかかります。

行政指導への対応

行政指導は「自発的に行うものだから放っておいても問題ない」という考えはとても甘い考え方です。税務署は事前に申告内容等を確認して、誤りがある可能性が高い場合に行政指導が行っています。そのため、行政指導を受けたときは、申告内容をしっかりと見直し、適切に対応する必要があります。誤りがあるのに放っておくと、結局、税務調査を受けることとなり、結果としてペナルティも重くなってしまいます。

行政指導は電話で行われることもありますし、「申告内容のお尋ね」等といったタイトルの文書が送付されてくることもありますが。いずれにしても回答期限までに回答するようにしましょう。

なお、「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」によれば、税務署の担当者は、納税者に対して、具体的な手続に入る前に、税務調査または行政指導のいずれに当たるのかを伝えなければならないこととされています。
納税者にとっても、税務署から接触があったときに、それが税務調査なのか行政指導なのかは大事な事項ですので必ず確認しなければなりません。不明確なときは「これは調査ですか?それとも行政指導ですか?」と質問をすればよいでしょう。

まとめ

税務署からすると、誤りがある可能性が高い申告を見つけたときに、税務調査を行うよりは、行政指導をして納税者が自発的に修正申告をする方が徴税事務の効率は高まります。そのため、この行政指導はよく行われていますので、もし税務署から連絡があったときは、慌てずに適切に回答するようにしてください。わからないときは税理士に相談するとよいでしょう。