税務調査などによって追徴税額が生じるのがほぼ確実となってきても、税務調査の最終の結果がでて、修正申告をするまでにはまだ時間がかかる、ということがあります。
延滞税に関しては、法定申告期日の翌日から実際に税金を納めた日までかかるため、わかっているのに手続きが終わらず納税ができないから、延滞税も余分にかかってしまう、という状況が起こることが考えられます。
その場合、「国税の予納」をすることにより、延滞税を少しでも減らすことができます。
延滞税とは?どうやって計算される?
国税を法定申告期日までに納付しなかったときには、その翌日以降、いわば利息のような性質を持つ延滞税が課せられます。
延滞税は法定納期限の翌日から税金を完納する日までの日数によって、次の割合で計算されます。
延滞税の割合
①納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間
・・・年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
②納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後
・・・年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合
平成30年1月1日から平成30年12月31日の期間については、①が2.6%、②が8.9%となります。
なお、予納をしても、加算税など他のペナルティを減らすことはできません。
国税の予納制度とは?
国税の予納制度とは、税務調査などで近いうち(おおむね6か月以内)に納付する税額が確定する見込みであるときに、修正申告書を提出する前等に、税額の見込金額を事前に納付することができる、という制度です。この予納をすると、予納した日までの期間で延滞税が計算されることになるため、延滞税を減らすことができます。
追徴税額の概算額はわかっていたとしても、実際に確定させるためには、詳細な調査・集計が必要で時間がかかりそうなケース、調査官と見解・解釈が分かれ、議論に時間がかかるようなケースなどにおいて、予納をして、延滞税を減らすことが考えられます。
予納をする方法、国税の予納申出書の書き方
予納をする場合は「国税の予納申出書」を提出することにより、税務署長に対して予納の申出を行います。「国税の予納申出書」は国税庁ホームページに掲載されていませんので、税務調査中であれば調査官に依頼するか、税務署の窓口で入手してください。
「国税の予納申出書」には、予納する国税の税目、年分、納期限、税額、修正申告の予定日、予納する理由等を記載します。修正申告をすることが見込まれる場合には、予納する理由には次のように記載すればよいでしょう。
「修正申告をするまでに期間を要するため。
税務調査により、申告額を納付する必要があるため。」
なお、どれくらいの金額で予納するか、国税の予納申出書にどのように記入するかは、調査官とも相談して進めてください。
実際の税額と予納した額と異なったとき
修正申告等によって実際の税額が確定します。予納した額が確定した税額よりも少ない場合は、追加で納付する必要があります。
一方、予納した額が確定した税額よりも多かった場合は、他の未納の国税に充当された上で、さらに納め過ぎた額が残ったときは還付を受けることができます。
ただし、還付となるときは、税務署内部での手続きが必要となり、時間もかかるので、見込まれている税額よりも少ない金額で予納をしておく方がよいと思われます
まとめ
延滞税は、年8.9%(平成30年度)となっており、銀行の預金利息等と比べると非常に高い割合となっています。追徴税額が生じる可能性が高いときは、この国税の予納制度を活用すれば、少しでも負担を減らすことができるでしょう。