不動産業・不動産オーナーの税務調査のチェックポイント

不動産の賃貸などを行う不動産業についても税務調査が行われることがあります。 今回は不動産業を営む法人や個人事業主に対して行われる税務調査のチェックポイントについて税理士が解説します … 続きを読む 不動産業・不動産オーナーの税務調査のチェックポイント

この記事は約4分で読み終わります。

不動産の賃貸などを行う不動産業についても税務調査が行われることがあります。
今回は不動産業を営む法人や個人事業主に対して行われる税務調査のチェックポイントについて税理士が解説します。

不動産業・不動産オーナーの税務調査のチェックポイント

不動産業の税務調査の主なチェックポイントとしては、次のような事項が挙げられます。

1.未収の家賃も売上に計上しているか?

入居者から家賃の入金が遅延することがあります。
家賃が未収であっても売上には計上しなければなりません。

2.礼金、更新料、返還しない敷金や保証金を売上に計上しているか?

礼金、更新料、返還しない敷金や保証金を受領したときは、契約期間が複数年にわたるとしても、契約時に一括して売上に計上しなければなりません。

3.給与は勤務の実態に応じて支払われているものか?

不動産業の場合、同族会社が多く、親族などの同族関係者に給与を支払うこともあります。この場合、架空の給与ではなく、勤務の実態に応じた適切な給与が支払われているかどうかが問題となります。
税務調査では、本人や他の従業員に対する質問や勤務日誌・タイムカードの閲覧などで勤務の実態があるかどうかを確認されることがあります。

4.修繕費と資本的支出の区分は間違っていないか?

不動産の修繕工事等を行った場合で、その修繕が耐用年数を延長する効果があったり、不動産の価値を増すと認められるようなものであるときは、資本的支出となり、固定資産に計上する必要があります。税務調査では、修繕費として一括費用処理したものの中に、そのような資本的支出に該当するようなものがないかどうかを確認されます。

5.不動産取得時の仲介手数料を不動産の取得原価に含めているか?

不動産取得した際に仲介業者に支払った仲介手数料は不動産の取得原価となります。
そのため、取得時に経費処理するのではなく、固定資産に計上し、減価償却することにより費用に計上されることとなります。
なお、登記費用や不動産取得税は発生時に費用処理することが認められています。

6.不動産取得時の固定資産税精算金を不動産の取得原価に含めているか?

不動産取得時に固定資産税精算金を売主に支払うことがあります。
固定資産税は本来的には1月1日時点の固定資産の所有者に納税義務があるものです。
商慣習として精算が行われることがありますが、税務上はあくまで売買代金の一部と考えなければなりません。そのため、不動産の取得原価となり、固定資産に計上し、減価償却することにより費用に計上されることとなります。

7.非居住者への支払がある場合、源泉徴収をしているか?

非居住者から不動産を購入することがあります。
売主が非居住者であるときで一定の場合には、不動産の売買代金から源泉所得税を控除した金額を売主に支払い、源泉所得税を税務署に納めなければなりません。
買主に源泉徴収義務がありますので、これをしていないことが税務調査でわかると、買主が源泉所得税を税務署に支払い、その後、売主との間で再度精算をしなければならないこととなります。

8.消費税の課税区分は間違っていないか?

家賃等の収入や不動産の売買代金については、その性質によって、課税売上となるか、非課税売上となるかが変わってきます。課税売上・非課税売上の判定が正しく行われているか、について税務調査で確認されることがあります。経費についても同様に課税・非課税の判定が正しく行われているかが確認されます。

9.契約書等に印紙は貼っているか?

税務調査では、不動産売買契約書や領収書などの印紙税の課税文書にあたる文書を作成した場合に正しい金額の印紙が貼られているかを確認されることがあります。
領収書の原本は支払った相手に提出しているはずなので手元には残っていないと思われます。その場合、領収書の控えの枚数と印紙の使用記録や租税公課の総勘定元帳などを照らし合わせることによって、印紙を貼っていたかどうかが推測されることとなります。

まとめ

不動産業・不動産オーナーの税務調査のポイントを解説しました。不動産業の場合、金額が大きい取引も出てきますが、そのような取引で問題が見つかると、追徴税額も多額になる可能性があります。
特に大きな取引については慎重に税務上の検討を行う必要があるでしょう。また、税理士の書面添付制度を活用することも考えられます。