法人に対して行われる税務調査の割合は?(大阪国税局発表資料より)

大阪国税局は「平成28事務年度における法人税・消費税の調査事績及び源泉所得税等の調査事績の概要」という資料を発表しました。 これは大阪国税局が毎年発表している事務年度(7月1日~6 … 続きを読む 法人に対して行われる税務調査の割合は?(大阪国税局発表資料より)

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大阪国税局は「平成28事務年度における法人税・消費税の調査事績及び源泉所得税等の調査事績の概要」という資料を発表しました。
これは大阪国税局が毎年発表している事務年度(7月1日~6月30日)における税務調査の統計情報です。今回は同資料をもとに、法人に対して行われる税務調査の割合や申告漏れ等が見つかる割合などを解説します

法人税の実地調査の状況について

平成28事務年度に行われた法人税の実地調査の件数は16,007件で、前年の16,153件から微減(対前年比99.1%)となっています。
大阪国税局が発表した別資料「法人税等の申告事績」によれば、平成28事務年度末現在の法人数は495,344件です。この法人数を基にすると、全法人の3.2%の法人に対して税務調査が行われていることとなります。ただし、法人数には休眠会社も多数含まれているものと思われますので、実際に事業を行っている会社に対して行われる税務調査の割合はもう少し高くなるでしょう。

税務調査が行われた法人のうち、申告漏れ等の非違があった法人は11,915件で、これは調査した法人の74.4%の割合です。前年も74.6%ですので、ほぼ横ばいです。
税務調査が入ると高い割合で何らかの非違が見つかることが統計上示されています。また、不正計算については、調査した法人の18.7%の2,987件で見つかっています。

なお、調査1件当たりの申告漏れ所得金額は841万円で、追徴税額は191万円となっています。
ただし、これはあくまで平均した結果で、税務調査があると約75%の確率で191万円の追徴税額が生じる、という見方は間違っています。
できるだけ正確な税務申告をしていれば非違が見つからない、もしくは、見つかっても少額の追徴税額で済むこととなるでしょう。

消費税の実地調査の状況について

消費税(法人)の実地調査が行われた件数は15,374件で、法人税と同様に前年の15,558件から微減(対前年比98.8%)となっています。これは法人税の実地調査の件数と同程度ですので、法人税と同時に消費税の実地調査が行われていることが多いものと考えられます。
このうち、申告漏れ等の非違があった法人は9,145件で、調査した法人の59.5%の割合と、法人税よりは非違が見つかる確率は低いものとなっています。前年の同比率は58.9%ですので、非違が見つかる割合はわずかに増加しています。
なお、調査1件当たりの追徴税額は60万円となっています。

不正発見割合の高い業種について

同資料によると、不正割合の高い上位10業種は次のようになっています。

1 パチンコ
2 廃棄物処理
3 医療保険
4 その他の飲食
5 土木工事
6 貨物自動車
7 一般土木建築工事
8 電気・通信工事
9 建築工事
10 自動車修理

これらの業種については、比較的税務調査の対象となりやすい業種であるといえるでしょう。

源泉所得税等の実地調査の状況について

源泉所得税についても実地調査が行われています。
源泉所得税については19,480件の実地調査が行われ、そのうち源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は5,709件(29.3%)、調査1件当たりの追徴税額は20万円となっています。

まとめ

大阪国税局が発表した資料をもとに法人に対して行われる税務調査の状況を解説しました。
税務調査が行われる割合、申告漏れ等の非違が見つかる割合は思っていたよりも高い?低い?どちらでしたでしょうか?
いずれにしてもこれは統計資料に過ぎません。正しい税務申告をしていれば、税務調査があっても大きな問題となることはないでしょう。