法人や個人事業主の税務調査のチェックポイント

法人や個人事業主の税務調査のチェックポイント

法人や個人事業主に対して税務調査が行われるときの法人税・所得税における税務調査のチェックポイントを解説します。 Contents1 法人や個人事業主の税務調査のチェックポイント(法 … 続きを読む 法人や個人事業主の税務調査のチェックポイント

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法人や個人事業主に対して税務調査が行われるときの法人税・所得税における税務調査のチェックポイントを解説します。

法人や個人事業主の税務調査のチェックポイント(法人税・所得税編)

1.売上や仕入の計上時期は正しいか

売上や経費が計上すべき時期に計上されていないことを「期ずれ」ともいいますが、この「期ずれ」がないかどうかは、税務調査の調査項目の中でも基本的な事項といえます。
というのも、当期の利益が多くなりそうだから売上の一部を翌期に回そうとか、経費を前倒しで計上しておこう、とかは税金を減らすためによく行われる手口なのです。また、意図的でない場合も、書類の作成・受領のタイミングによって計上が遅れてしまうことがあります。
そのため、税務調査でも特に重点的にチェックされる項目の一つです。
売上や経費の計上時期が正しいかどうかは、注文書や契約書、請求書、入金のタイミング、その他売上に関する資料等を閲覧することによりチェックされます。

2.交際費の中に社長の個人的な支出が紛れていないか。帳簿に必要な事項は記載されているか。

交際費の中に事業とは関係のない社長の個人的な支出がないかどうかがチェックされます。そのような支出は交際費ではなく、社長に対する報酬(給与)として課税されることとなります。社長の個人的な支出がないかどうかは、交際費以外にも福利厚生費や消耗品費などでチェックされる可能性があります。
また、接待飲食費として損金に計上している場合には、飲食の相手先などを帳簿に記載しておかなければなりません。そのような記載が適切にされているかどうかも確認されることとなります。

3.修繕費に資本的支出が含まれていないか

建物や機械などに対して修繕を行うことがあります。その支出の中に耐用年数を延ばしたり、資産の価値を高めるための支出(資本的支出)となるものがあれば、それは修繕費として処理するのでなく固定資産に計上し、減価償却をしなければなりません。固定資産に計上すると、その期に計上される損金は少なくなるため、その分税金が増えることとなります。
そのため、税務調査では、修繕費として処理したものの中に資本的支出に相当するものがないかどうかのチェックをされることがあります。

4.在庫(棚卸資産)の計上漏れがないか

期末時点で在庫(棚卸資産)がある場合は、それを資産として計上しなければなりません。など在庫として資産に計上すると、その分、利益が増えることとなります。
そのため、税務調査で、在庫(棚卸資産)の計上漏れがないかどうかをチェックされることがあります。チェックは、棚卸表など在庫関連の帳票や売上・仕入関連の帳票と照合して行います。貯蔵品なども未使用のものがあれば在庫に計上する必要があります。

5.架空の人件費はないか。

親族などに対して役員報酬や給料を支払っている場合、税務調査で、その親族が役員や従業員として実際に勤務しているかどうか、というチェックがされることがあります。
実際には勤務していないが、親族や知り合いに給料を払ったことにして、その分経費を多く計上して税金を減らそうとすることが行われることがあるからです。
実際に勤務しているかどうかは、タイムカード、従業員名簿、雇用契約書、日報を閲覧したり、直接本人に業務内容を質問したりすることにより確認されることとなります。また、調査官が他の従業員に対して「○○さんは週何回くらい会社に来ていますか?」とか「○○さんはどのような業務をしていますか?」というような質問をされることもあります。

6.同族関係者との取引があるとき、その取引条件は妥当か。

同族関係者との取引があるときは、その取引条件が適切かどうかについて確認されることがあります。例えば、会社と社長とが取引をしている場合で、社長に通常よりも大幅に有利な条件で取引をしているときには、社長に対して経済的利益を与えているものとして、社長に対する役員報酬として課税されることとなります。
そのような取引がないかどうか、あるときは、その取引条件が妥当かどうかについて税務調査で確認される可能性があります。そのような取引があるときは、取引条件が妥当であることを説明できるような資料を残しておく必要があるでしょう。

7.役員報酬は法人税法で定める要件を満たすものか。

役員報酬が損金となるためには1.定期同額給与 2.事前確定届出給与 3.利益連動給与といった法人税法が定める役員に対する給与の要件を満たすものでなければなりません。
また、役員報酬は、不相当に高額なものは認められません。不相当に高額なものに該当するかどうかの形式基準として、株主総会等での決議を経ているかどうかが問題となります。
税務調査ではそれらの要件を満たしているかどうかについて確認がされることがあります。
特に役員報酬を決議したときの議事録が漏れなく作成されているかどうかを確認しておく必要があるでしょう。

まとめ

今回は法人税や所得税の税務調査でよくチェックされる項目を挙げました。ここで挙げたものは基本的な事項ですので、税務調査ではこの他にも多くの項目についてチェックされることとなります。どれも共通なのは、税務調査で問題となるのは、税法等に照らして適切に処理されていないものです。適切に処理されていれば問題ありませんし、判断が分かれるような論点についてはキチンと自身の見解を根拠資料をもって説明できるようにしておく必要があるでしょう。