決算が赤字だったから今年は税務調査は来ないだろう。そのように考えられていませんか?実は赤字会社に対しても税務調査は行われます。
赤字会社にも税務調査は入る?
赤字会社でも税務調査が入ることはあるのでしょうか?
結論から言いますと、赤字会社でも一定の確率で税務調査は行われます。
国税庁が発表した「平成29事務年度 法人税等の調査事績の概要」という資料によれば、平成29事務年度(平成29年7月から平成30年6月まで)に法人税の実地調査が行われたのは約98,000件。そのうち、約31,000件は無所得申告法人に対して行われています。無所得申告法人というのは、「所得がない申告した法人」ということですから、赤字会社と考えることができます。つまり、赤字会社に対しても税務調査は行われます。
税務調査は税金を追加で取りに来るものです。赤字会社で問題が見つかっても、税金を追加で取ることができない可能性もあるため、黒字法人よりも可能性は低いですが、それでも赤字会社にも税務調査は行われます。
先ほどの国税庁の発表したデータからすると、税務調査が行われる法人のうち、約3割は赤字会社なのです。
意外だったのではありませんか?赤字決算だったからといって安心することはできません。
なお、平成29年度の無所得申告法人(赤字会社)に対して行われた約31,000件の税務調査の結果、約4,000件で有所得(黒字)に転換しており、有所得転換割合は13.8%となっています。
赤字だからといって税務調査は行わないこととなれば、無理矢理、赤字にして、税務調査を逃れようとする会社が出てきます。それでは不公平になります。税務署としては、赤字を仮装していないか、消費税はきちんと申告しているか、という観点から、他の税務調査に入るケースと同様に、業種や過去の申告の状況、利益率、他で税務署が入手した情報との整合性などをチェックした上で、申告内容が疑わしいと考えられる場合は、赤字であっても税務調査が行われることになります。
ただ、赤字会社といっても、休眠会社などに税務調査が入る確率は低いでしょう。
赤字会社にはどのような調査が行われるの?
たとえ赤字会社であっても、税務調査で問題が見つかり、所得が増えれば、繰越欠損金が減ったり、黒字に転換して法人税等が生じる可能性があります。そのため、黒字法人と同じように法人税の調査が行われます。特に意図的に赤字にする場合は、売上の計上時期を遅らせたり、そもそも売上を隠して計上しなかったり、他の関連法人に利益を付け替えたり、していることが見受けられます。そのようなことをしていないか、というようなチェックが行われることとなります。
また、消費税については、赤字会社であっても納税が必要となることがありますから、消費税の調査が行われます。
さらに、源泉所得税や印紙税については、赤字・黒字に関係なく納税が必要となりますから、源泉所得税や印紙税の調査が行われることもあります。
まとめ
意外に多くの赤字会社に税務調査は行われています。赤字決算だったからといって、税務調査は来ないと安心しないようにしましょう。税務調査でお困りのときは、みんなの会計事務所 税務調査・期限後申告相談センターにお気軽にご相談ください。